読書の秋です。

2005-09-06 23:10:00 前の画面へ戻る

 ガイドは台風で中止のままです。

◆台風

 台風14号の琵琶湖への影響ですが、5日はさほど無し。6日は断続的に東、北からの強風が吹き、濁りが広がっている模様。明日の昼には湖上の様子を見に行きます。


◆いかに科学するかが課題

 さて、秋の休みということで読書をしております。今回は『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいのか』 佐野真著 講談社現代新書刊 を読んでおりました。

 和田というのは福岡ソフトバンクの野球選手の投手・和田毅氏のことで、本書は和田投手の生い立ちから、野球選手になるまでの努力、方法が詳細に書かれており、その中で彼独特の打ちにくいストレートの秘密について検証されています。

 私が今さら野球をする訳ではありませんし、打ちづらいストレートを投げる必要もありませんが、野球好きの私は東京六大学で江川卓氏を奪三振で越えた理由について非常に興味があり、本書を購入したのですが、和田投手の想像を絶する「理論に基づく努力」というものに対して尊敬を超えて、恐怖を感じてしまいました。

 この書の中で書かれている「理論に基づく努力」というのは、全てのスポーツ、勉学、仕事に当てはまるものであり、天才と呼ばれる別次元の人間(この書では松坂大輔)に対して、一般の人間がいかなる方法により追いつくことが出来るかという点において大いに参考になります。

 天才というものは体格、頭脳、感性など能力的に優れたものが大いなる努力を加えるものによって人に越えられない能力を発揮する訳ですが、それに常人が追いつくためには科学的な方法論により無駄のない努力を絶え間なく続ける必要があるということです。そして、努力というものを本人が努力と思わず、「ただ好きなことをやっているだけ」という意識レベルで行わなければなりません。

 私も釣りの世界において、大会に出場し日本一という目標を持った時代がありましたが、その中でもっとも足りなかったものが「好き」という意識レベルだと痛感しました。私の場合、魚を探すという行為は好きですが、魚を釣るという行為がイマイチ駄目でした。どうしても、同じパターンで釣れると分かっている魚を延々と釣り続けることが苦手なのです。ちょっと釣れれば「もうこの魚はいい」とついつい投げる癖があります。そのため、釣りという行為のレベルを上達させるうえで大きな障害となりました。

 あと、魚を探すという行為においても、当時の日本のトップレベルにいたプロ(深江真一プロ、小島宏プロなど)と行動を共にするにつれて、彼らの妥協のなさを目の当たりにするにつれて、自分の能力や意識レベルの低さに愕然とする日々を過ごすこととなりました。それから、本書にも書かれている成功者の条件「負けず嫌い」という条件においても大会という世界で自分が大きく劣ることを痛感しましたし、これにより彼らと同じレールの上で生活するのも不可能だと思い、大会の世界から脱することを決意しました。

 いまでも、「大会に出ませんか?」とか色々お誘いを受けることも多いのですが、あの時代に全力で挑んだだけに、もう未練もありません。あのときのようなアドレナリンも出ることもなく、遊びで本気になれない大会に出るのは周囲の方にも失礼ですから、全て辞退させて頂いており、今は自分のもっとも好きな「魚を探す行為」が仕事となるガイド業に専念しております。魚を探すという行為は意識レベルで好きなので、毎日、努力しているとは感じず、好きなことをして生活しているだけなので、今後もガイド業が嫌いになることはないでしょう。

 さて、書の方に戻りますと、投球の動作を科学的に解析することにより、同投手が大学時代に129キロだったストレートを140キロ台にまでスピードアップさせた過程が書かれております。野球において指導者が「体を開くな」など指導されているようですが(この辺は私もよく分かっていませんが)、なぜ体を開かないと良いのかを科学的に理解することによって、合理的に努力を重ね同投手が普通の投手から偉大な投手に変貌したかが述べられています。

 この点は今の釣りの世界でも、もっと深く追求されるべき部分だと思います。釣りにおいても「アワセて」などとフッキングを指導させていただく機会も多いのですが、正しいフッキングとは何か?正しいキャスティングとは何か?これほど世の中に天才的アングラーがいる一方で、科学的にこうした動作を研究し、そして正しい指導法や方法論が見出されていない点は大きな問題です。もし、可能であるならば、今後はこうした研究や論理が正しく広まるようにしたい。

 それから、著者の信念「アスリートにとってメンタル面の強さは、技術面と同等か、それ以上に重要」という部分は存分に共感できますが、釣りにおいて私が書き換えるならば「釣り人にとってメンタル面の強さは、技術面の10倍以上に重要」としておきます。

 最後に和田投手の早稲田大学時代の卒論も掲載されています。自分の学生時代の卒論と比べることすらおこがましい素晴らしい論文でした。1981年生まれの同投手は私の11歳も年下ですが、脱帽せざる得ないぐらいクレバーで尊敬させられます。

 少々、野球にご興味がある方は是非ご一読下さい。おすすめの書です。


 


 

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